さあ一行が次に到着したのは、行場の中でも荒行中の荒行「西の覗き」であります。ここは捨身行とも呼ばれ、文字通り断崖絶壁に自ら身を投げ出し懺悔するという行場であります。うわさには聞いていましたが、恐怖感は想像を絶するものでした。丸山が一番手に行い、小南院長、平田、島袋、奥村、中地と続き、それぞれ奇声にも似た叫び声を発していました。先達から「親孝行するか!」「家庭を大事にするか!」「賭け事をやめるか!」などの問いに一同「はいっ!!!!」 後のほうになると「なんでもいいから早く上げて!」と心の中で叫びながら、先達の「よし!」の声に安堵すると、最後にグイッと前に突き出され、「うわあっ!!」 ようやくあげてもらい座りこみました。その後全員で秘歌を唱えました。 ”ありがたや 西の覗きに懺悔して 弥陀の浄土に 入るぞうれしき オン アビラウンケンソワカ・・”一同ほっとして頂上の大峰山寺を目指すのでありました。しかしこの後もまだまだ厳しい行が待ち受けていることを一行は知る術もありませんでした。なんと言っても皆はハイキング気分で来たのですから・・・   okkun